shigusa_t’s diary

当たり前の疑問を口に出せる人になりたい。

頭の中の語り手

たまに土日に寝貯めをしていると、目が覚めて二度寝して、また起きてを短時間で繰り返すような状態になることがある。 そういうとき、よく比較的鮮明な夢を見る。普段見る自分の夢はごくうっすらとしたもので、起きた頃には大部分忘れているんだけど、こういう状態で見た夢は少なくとも目覚めた直後はよく覚えている。

そのたびに疑問に思うのが、これだけのストーリーが一体自分のどこから生まれてきたのだろう、ということ。

何度か小説を書こうとして挫折したことがある。どうも自分の脳はこうした雑文の類を書くことはできても、小説のような人間の感情の動きを繊細に記したテキストを書くことには向いていないように思える。

一度小説書きの友人と話したことがあるが、書き方そのものが全く違った。彼の頭の中では登場人物による対話を絶え間なく流し続けることができて、その中から面白い上澄みを取ってきて物語を紡いでいるらしい。キーボードを打つ時間が勿体ないから、喋ったことがそのまま小説になってくれればいいのに、と言っていた。

正直全く理解できない感覚だった。自分の場合は現実に人と向き合っても絶え間なく喋るなんてことはとてもできないので、当たり前ではある。

私が現実においてこういう性質を持っているにもかかわらず、夢の中で紡がれるストーリーの展開は饒舌である。一本の短編小説のようにまとまっていることも少なくなく、エピソードだけ取りだしてみるとわりと面白いこともある。 夢の中ではまさに小説書きの彼のように登場人物を絶え間なく動かすことができていて、しかも1エピソードの夢を見た二度寝の時間を時計で確かめてみるとせいぜい15分だったりする。覚醒時にストーリーを考えるよりはるかに高速だ。

自分の夢を具体的に書き出すのは恥ずかしいところがあるんだけど、今日見た最後の夢の中では占い師の細木数子が出てきて、自分が何かの芸能人として彼女に相談するというストーリーが含まれていた。

内容自体はどうでもいい。注目すべきは細木数子という人物が出てきたこと。人気があった当時は彼女のことはうさんくさい、どうでもいいと思っていたし、近年では全く名前も聞かず、少なくともここ数年自分の視界には一切入ってこなかった人物だ。この夢を見るまで完全に忘れていたし、彼女を引っ張り出す必然性は皆無である。にもかかわらず、私の夢はあえて彼女を引っ張り出した。

彼女の登場が突飛であるにもかかわらず、彼女に私が相談したことは非常に現状に関連深い、言ってみれば本音であり、リアリティがあった。残念なことに返答が帰ってくる前に目を覚ましてしまったが。

睡眠時に脳が行っていることは、恐らくある種の思考のリミッターを取り払うことに繋がっているのではないだろうか。記憶の再構成という作業とともに、目が覚めているあいだ使われていない回路も動員してストーリーを紡いでいるからこそ、こうした夢が現れるのだろう。

オカルトな仮説を抜きにすれば、一応自分の脳にはこのぐらいのアクティブな思考展開ができる素地があるということになる。それを上手いこと引き出せれば面白いストーリーを書けるようになるのかもしれない。とはいえ、アイデア出しの度に眠らなくてはいけないようでは一作品書き上げるのにどれだけかかることやら。